【開発秘話 #1】ロボットデザインを通して見つめる50年後の世界

【開発秘話 #1】ロボットデザインを通して見つめる50年後の世界

シグネチャーパビリオン「いのちの未来」では、会場内の至るで様々なロボットとの出会いがあります。現在、新たに開発しているロボットの中でも、パビリオンで来場者が初めて目にするコミュニケーションの未来を考えるロボットたちは、パビリオンの導入として大きな役割を持存在になります。今回はそんな開発真っただ中のロボットデザインの裏側を簡単にご紹介します。

道具としてのロボットデザインの究極の形

ロボットは、人類がこれまで関わってきた数ある道具の最も新しい形であり、また手にすることができる道具です。しかし、テーマ事業プロデューサー 石黒浩はロボットやアンドロイドがいずれ「道具と人間」という関係を超えてひとつになり、その表面(外見)ではなく内面にある意識や意思が中心の世界観になっていくと考えています。
では、まず道具としてのロボットデザインの究極の形は何でしょうか? そこで私たちが注目したのは、本パビリオンの建築や内装のモチーフに使われる石や水などの「原始的な素材」です。石は人類初の道具「石器」として古くから人間にとって身近な素材であり、石器をきっかけに人類は知性的に多くの進化を遂げ、新たな未来を切り拓いてきました。
一方、現代の道具=モノ(インダストリアルデザイン)としてみると、これからは大量生産でみんなが同じようなものを持つのではなく、それぞれが自分に合うデザインを選ぶような時代へと移り変わっていくと考えられます。

50年後のロボットデザインに求められるものとは

今回開発しているコミュニケーションの未来を考えるロボットたちは50年後の暮らしを想定したロボット。その世界にあるのは新しいインダストリアルデザインの形であり、最先端のロボットデザインです。それはシンプルで明快な美しさや持続的なデザイン、つまり華美に装うデザインではなく、より原始的なデザインの重要性が高まると想像できます。そこで、ロボットデザインには進化や変革のシンボルであり、原点である、石などの「原始的な素材」を取り入れていくのが適していると私たちは考えています。これは石黒の考えるロボットやアンドロイドがいずれ「道具と人間」という関係を超えてひとつになり、その表面(外見)ではなく内面にある意識や意が中心の世界観になっていくにも通ずるところでもあります。

各分野のプロフェッショナルと議論を重ねながら進む開発

シグネチャーパビリオン「いのちの未来」では、こうした50年後の世界にあるロボットだけでなく、同時にその先にある1000年後の未来を象徴する超人的アンドロイドの開発も進めています。環境に適応していくために人間や道具はどう進化を遂げるのか、差別のない社会や本質的な意味でのダイバーシティとは何か、人間とロボットが融合した世界はどうなっているのかなど様々な角度から続く議論。石黒や協働メンバー以外にも、ロボットの未来を表現する協働アーティストとして松井龍哉氏、廣川玉枝氏、菊地あかね氏、secca inc.など様々な分野で活躍するデザイナーやアーティストが参加し、創り上げていきます。知恵と技術が集結し、もたらされる新たな息吹。開発やプロジェクトの様子は、今後もこちらのレポート記事として更新してまいりますので、どうぞお楽しみにお待ちください。

ロボットの未来を表現する協働アーティスト

松井龍哉
デザイナー/アーティスト
1969年東京生まれ。1991年日本大学藝術学部卒業後、丹下健三・都市・建築設計研究所を経て渡仏。科学技術振興事業団にてヒューマノイドロボット「PINO」などのデザインに携わる。2001年フラワー・ロボティクス社設立。さまざまなロボットのデザイン・開発を行い、ニューヨーク近代美術館、ヴェネチア・ビエンナーレ、ルーヴル美術館内パリ装飾美術館、ヴィトラデザインミュージアム等でオリジナルロボットを展示。2012年に松井デザインスタジオを設立しデザインプロジェクトを展開する他、近年は美術家として現代美術作品を制作・発表。2021年には新型コロナウイルス感染症終息を祈念し発足した「平等院奉納プロジェクト」に参画し、本藍染ガラスアート作品「oeuf ho-oh(鳳凰の卵)」を平等院へ奉納。グッドデザイン賞、第六回日芸賞、ACCブロンズ賞、iFデザイン賞(ドイツ)、red dotデザイン賞(ドイツ)など受賞多数。
http://www.flower-robotics.com/

廣川玉枝
SOMA DESIGNクリエイティブディレクター/デザイナー
2006年「SOMA DESIGN」を設立。同時にブランド「SOMARTA」を立ち上げ東京コレクションに参加。第25回毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞受賞。単独個展「廣川玉枝展 身体の系譜」の他Canon[NEOREAL]展/ TOYOTA [iQ×SOMARTA MICROCOSMOS]展/ YAMAHA MOTOR DESIGN[02Gen-Taurs]など企業コラボレーション作品を多数手がける。2017年SOMARTAのシグニチャーアイテム”Skin Series”がMoMAに収蔵される。2018年WIRED Audi INNOVATION AWARDを受賞。2021年、東京オリンピックの表彰台ジャケットをアシックスと共同開発し話題を呼ぶ。同年12月、大分県別府市で開催された芸術祭「in BEPPU」にアーティストとして招聘され「廣川玉枝 in BEPPU」を開催し、市民と共に作り上げる新たな祭作品を発表。
http://www.somadesign.jp/

菊地あかね
アートディレクター/エクスペリエンスデザイナー
デザインスタジオKiQ(キク)のFounder & CEO。18歳で仙台から単身NYへの大学留学を機に、日本文化の奥深さを再認識、特に和の振る舞いやコミュニケーションデザインに感化される。アート・文化・サイエンスの調和をテーマに、これまでにないモノ・コトの再変換を行い、国内外でマルチディシプリナリーな価値観を提供。人間の振る舞いをテーマにしたアートワークや所作研究家として、心を伝えるための表現手法である、Shosa-Logy (所作学)を追求している。仏具の新しい形「極楽浄土AR」においては文化庁メディア芸術祭での受賞、大学の空間ディレクションではDesign For Asia受賞、「IKEBANA VR EXPERIENCE」ではWindows Mixed Reality最優秀賞など賞歴多数。アルスエレクトロニカへの出演、TEDx公式スピーカー、World OMOSIROI Award選考委員など、ジャンルを超えたユニークな視点と共に進化し続けている。
https://kiq.ne.jp/

secca inc.
seccaは、独自の視点でこれからの問いを見定め、それらに対応した新たなモノと体験を生み出すことによって新価値の造形を目指すクリエイティブコレクティブである。 食と工芸の街金沢を拠点とし、独自の思考を基に伝統工芸から最先端のテクノロジーまで既存の枠を超えたあらゆる素材や技法を掛け合わせた実験的なプロセスに特色がある。 取り組む対象は以下2つ。 1つは、問いそのものを表現したオリジナル作品の制作。 これからのモノづくりの可能性を探求する研究開発であり、同時に作品を通じてこれからのモノが果たす役割を無垢に問いかける。このプロジェクトがseccaの思考と表現の骨を形成し、同時に日本人として、工芸をはじめとした日本独自のものづくりのその先を描く重要なアウトプットである。 もう1つは、次世代の大量生産の在り方を見つめ直し、問いを社会実装する取り組み。 大量生産の役割は嗜好品を闇雲につくる時代から、豊かさをアップデートしながら社会課題を解決するソリューションへと移り変わった。既成概念や素材から見直し、数を生み出すからこそ届けられる価値を問い、各分野の専門家やメーカーと協力し具体的な提案を世に発信する。 これら「問いの表現」と「問いの社会実装」を一対で取り組むことがseccaの個性であり存在意義である。
https://secca.co.jp/